Flair Pro 2

今年の 2 月、手が滑って Flair Espresso Pro 2 を購入した。 きっかけは SWITCH COFFEE TOKYO のホットラテが好きすぎて、なんとかこれを自分で作れたりしないかな、と思ったこと。

もし美味しいエスプレッソを作れさえすれば、ラテだけじゃなくこれからの暑い季節にぴったりなエスプレッソトニックも飲み放題。バニラアイスにかければ確実に優勝できる。

とはいえ、自宅で美味しいエスプレッソを抽出するハードルの高さは何度も耳にしていて、Tim おじさん著書の中で、「自宅でやるよりカフェに行け、ただし俺が家で作るエスプレッソは最高だけどな!ガハハ!」みたいなこと言ってる。

この記事は、それでも諦めきれず、Flair なら満足いくクオリティのエスプレッソを自宅で作れそう・・・!と希望を持って、天国を味わってから地獄に落ちて、また天国を見た記録。

忙しい人向けのまとめ

  • Wilfa で挽いた豆でも Flair で抽出できる
  • 浅煎り豆だと同じ粒度でも失敗するので中深煎りを使う
  • どうしても浅煎り使いたければ、エスプレッソ挽きできるグラインダーを使うか店で挽いてもらう

なにが大変なのか

まずはエスプレッソを自宅で作ることの何が大変なのか整理しておく。

※ 注意: 自分はバリスタ経験もないし、業務用器具を所有したこともないので、想像でものを言っています

前提

  • ドリップも飲む
  • 1 日 2〜3 杯
  • 賃貸住み(100V 電源)

エスプレッソマシン

ガチ機材と思われがちなエスプレッソマシンだけど、ちゃんと小規模店舗用とか家庭用グレードのものもあるし、電源も家庭用 100V だったり、水道直結しなくても水タンクタイプの製品もある。つまり、絶対に導入できないってわけではない。ただ、業務用とくらべて小さいというだけで、そこそこのサイズがあるし、実際置いたら邪魔だろうな、ってのはある。

グラインダー

エスプレッソマシンで使うコーヒーは「エスプレッソ挽き」と呼ばれる粒度の細かい挽き目設定が必要になる。 ドリップ用よりも遥かに細かいので、普通のグラインダーだと対応していないことが多い。

エスプレッソにはドリップ用よりも深めに煎った豆を使うのが一般的で、エスプレッソブレンドとかも売っている。

1 日 2〜3 杯しか飲まなくて、ドリップにするか、エスプレッソドリンクにするか、その瞬間の気分で決めたい、となるといったい自分はどれだけの豆のストックを抱える必要があるのか?という問題がある。さらにエスプレッソ用の豆はなぜか量が多い。

やってみた

以上を踏まえて Flair Espresso を導入した。設置スペースも小さくて済むし、電気も使わない。それでいて本格的なエスプレッソを作ることができる夢のような器具。

豆についてもいったんエスプレッソ用を用意せず、ドリップ用の浅煎りを使うことにした。Ignis とか最近はシングルオリジンのエスプレッソを提供しているお店も出てきているから、その意味でも面白いチャレンジになる。

グラインダーはもともと使っている Kinu M47 Classic がエスプレッソ挽きに対応しているので特に問題はない。

成功: Flair + Kinu (浅煎り)

最初は豆を細く挽きすぎてレバーを押し下げられないくらい圧力がかかったり(器具が壊れるので危険)、タンピングが甘くて未抽出になったりして失敗した。

ただ、数回やると慣れてきて、それぞれのパラメータも定まってきた。

  • 浅煎り豆 20g
  • Kinu で 1.5 の細さ
  • 9 bar 前後を維持

いろいろな豆で試したけど、特に印象的だったのは Acid Coffee Tokyo で買った Ethiopia Guji Shakisso、TRUNK COFFEEColombia El Paraisoわかき珈琲Colombia Los Almendrosの3つ。

Shakisso は理想の味に近くて、少しだけ氷が溶けて薄まると、ふわっと Nutty な風味(アーモンド系)が広がって、この体験だけでも心底 Flair 買ってよかったと思えた。 ドリップではこの味は出てこなかったしエスプレッソは面白い。

失敗: Flair + Wilfa (浅煎り)

めちゃくちゃ美味しいエスプレッソが作れることがわかったので毎日やるようになった。ただ、そうなってくると 20g もの浅煎り豆を Kinu で手挽きするのは苦痛になってくる。さらに午前中にラテを作ったら、午後はだいたいドリップにするため、Kinu の挽き目の調整をする必要がある。それも地味に面倒。

そこで思いついたのは 1 年放置していた Wilfa を活用できるかどうか。Kinu を導入後、まったく使わなくて売ろうかと思っていた。 Wilfa は公式にはエスプレッソ挽きに対応しているらしいけど、Kinu と比べると荒い。

やってみないとわからないので、イチかバチか試したところ見事に玉砕。最終的に 2 回失敗した。 Wilfa で一番細く挽いて、タンピングも強めにしたけど、それでもチャネリングが発生し、圧力が 3 bar に達するあたりで抽出が始まってしまい、完全なる未抽出。

美味しい浅煎り豆を2回も無駄にしたことで心が折れかかった。

成功: Flair + Wilfa (深煎り)

Wilfa じゃダメかーとガックリして、家庭用のエスプレッソグラインダーを検討し始めたが、それを Sputnik で相談したら「浅煎り豆だとエスプレッソ作りにくい」とアドバイスをもらった。さらにグラインドの粒度だけではなくバラつきもチャネリングの原因ということで、いっそのこと店で挽いてもらう方が良いかも、と。

ということで Sputnik で使っている swim の エスプレッソブレンド The Magic Number を売ってもらって試したところ、チャネリングもせずに美味しいエスプレッソを作ることができた!

追記 2021/06/13: 何度か試したところ、わずかにチャネリングが発生し、Kinu で挽いたときのような安定感はなかった。とはいえ、9 bar かかっているので未抽出ってわけではない。

おわりに

ということで深煎りの豆を使えば Wilfa でも Flair でエスプレッソを作れることがわかった。 どうしても浅煎りで作りたいときは素直に Kinu を使うか、お店でエスプレッソ挽きにしてもらう。

Flair はマジで最高だから広まってほしい。

それはそれとして、WEBER WORKSHOP が新しい電動グラインダー KEY Coffee Grinder を出すらしいので買ってみるつもり。