ディープリムを試したい

ENVE SES 3.4 に交換してから 2 ヶ月経って、春の筑波8耐や富士ヒルなどのレース、風張林道や熱海ゆるぽた(バカ坂)などいろいろな状況・環境で試した。結論、ENVE 3.4 がオールラウンダーすぎて何も文句がない。

とはいえ、自分がこれまで試したカーボンホイールは imeZi 167 と ENVE 3.4 のみ。自分に合うかどうかなんて使ってみないとわからないし、良し悪しは比較でしか言えない。夏にはまた筑波8耐があることだし、ここはひとつディープリムってやつを試してみたいと考えた。

ただ、ディープリムを調べるうちに、いわゆる「エアロ効果」は自分が想像していたほど単純な話ではなかった。今回は調べたことをまとめつつ、自分の機材の現状整理して、最終的にリムを選定してみる。

エアロ効果について

ENVE 3.4 にして得られたのは「風」に対する苦手意識の克服だった。単純に風の強い日、トンネルを抜けたあとの吹き込み、隣をトラックが通ったときの風圧、ダウンヒルでスピードが出ているとき、などなど風を受けるシチュエーションは結構多い。 当初はフロントリムを低くして回避しようと考えていたわけだけど、ENVE 3.4 だと風が吹くことで逆にハンドルが安定する。さらに前に進む感覚がある。

imeZi 167 と ENVE 3.4 のフロントホイールのリム高の違いはたったの 2mm なのに、ここまで違いが出てしまうのか、とエアロ効果の味をしめてしまった。

というわけでエアロ効果と言えばディープリムなので、そのメリットを列挙してみる。

  • 斜めからの風による揚力の発生
  • スポークが短いので空気抵抗減少
  • リムの剛性向上
  • 振動吸収性能の向上

まぁほんといろいろある。特に揚力発生は面白くて、リム選定にも影響するのでもうちょい深掘っていく。

ホビーライダーがエアロ効果とか意味あんの? ってのは正しい感想で、完全に道楽だと思っている。システム全体の空気抵抗のうち人間の身体が大きな割合(データによるけど 7〜8 割)を占めていて、さらにフレームやハンドルのことも考えると、リム・タイヤの影響というのはせいぜい 1 割くらい。

帆走効果

リムのエアロ効果について学んだ記事へのリンクを載せておく。

つまり、帆船が風上に向かって進むことができる原理(帆走効果)と同じことがリムで発生する。これは以前の記事で ENVE に交換したら横風が吹くとハンドルが安定して前に進む感覚がある、と書いたのは本当だったことになる。ちょっと感動した。

帆走効果だけに注目すると、「リムが高いほどより多くの揚力を得られる」ってことなんだけど、デメリットとして、

  • 横風の影響でハンドルがふらつく
  • 単純に重くなる(ただし、全体での影響は小さい)

などがある。揚力によって横風自体が打ち消されるわけではないから、普段使いするなら高すぎるリムは現実的ではなさそう。

ところがさらに調べてみると、リム全体のエアロ効果を考えるとリム高よりも、タイヤとの組み合わせの方が支配的らしい。

105% ルール

詳しくは次の記事を読んでみてほしい。めちゃくちゃ詳しく書かれている。

濃い記事なので検討に必要なトピックをまとめると、

  • タイヤ幅に対して 105% 以上のリム幅にすると drag が悪化しない
  • リム高とかリム重量よりタイヤとの組み合わせが影響大きい
  • リム内幅や空気圧によってタイヤ幅が変わるから実測値を使う

いやはや目から鱗だった。リム幅とタイヤ幅のことなんて考えたことなかった。

ということで、現行機材がどうなっているかが選定基準にもなってくるので測定していく。

現行機材の実測値

現在は ENVE SES 3.4 Disc + Pirelli P Zero Velo 25c + REVOLOOP Race 60mm という構成。

スペック表と実際にデジタルノギスで計測した結果が以下になる。

  • リム幅: 27.5mm
  • リム内幅: 21mm
  • タイヤ幅: 25mm
  • タイヤ幅実測: 26.8mm 〜 27.8mm(場所によって変動)
  • 空気圧: 95 psi(自分の体重とリム内幅に基づく推奨値)

まず 25c のタイヤが最大 27.8mm まで膨らんでいるのにびっくりした。

タイヤ幅の実測最大値 27.8mm の 105% は 29.19mm となる。この 29.19mm がエアロ効果をスポイルしない最低限必要なリム幅ということになる。

つまり、リム幅 27.5mm の ENVE くん、アウトー!まぁアウトっていうか、 27.5mm 以内に収まっていればよりエアロ効果があるという意味。 もし 23c にしてタイヤ幅実測値が 25.5mm くらいに収まれば今よりも drag が減るのか・・・(゚A゚;)ゴクリ

ちなみに imeZi 167 はリム幅 26mm で ENVE よりさらに狭い。つまり ENVE での体感の違いはフロントの高さが 38mm になっただけでなく、リム幅が 1.5mm 増加したこともあったということ。

リム選定

実測値から、リム内幅 21mm に Pirelli の 25c タイヤを履かせると最大 27.8mm となることがわかった。このデータをもとにリムの選定を行っていく。

候補として考えていたリムを並べると、

ManufacturerModelRim HeightRim WidthInternal WidthWeightPrice
Princeton CarbonWorksWAKE 656060 - 65mm26mm18mm1437g$2,800
Princeton CarbonWorksGRIT 454040 - 45mm29.9mm21mm1430g$2,800
Princeton CarbonWorksPEAK 455045 - 50mm26mm18.5mm1348g$3,400
ZIPP454 NSW Carbon Tubeless Disc-Brake53 - 58mm?23mm (*1)1358g (*2)$4,000
RovalCLX 5050mm29.4mm20.7mm1415g$2,500
LightweightWegweiser Evo36mm24mm20.4mm1437g$5,000
HEDVanquish RC Pro RC440mm30mm21mm1465g$2,912
HEDVanquish RC Pro RC661mm30.6mm21mm1585g$2,912
Hunt4454 UD Carbon Spoke Disc44mm / 54mm29mm20mm1427g$1,959
PartingtonR-Series 39R/44R39mm / 44mm26.5mm21mm1200g$7,590
Black IncFORTY FIVE45mm27mm21mm1489g$2,349
Black IncSIXTY56mm30mm21mm1575g$2,349

*: すべてクリンチャーかつディスクブレーキモデル
*1: この紹介記事によると公式サイトの記載よりも幅が広い
*2: このレビュー記事によると公式サイトの記載重量より軽い

Roval CLX 50 はエアロ性能が期待できるリムプロファイルで人気があるのも納得、という感じ。

ZIPP 454 NSW はつい最近新しいモデルがリリースされて、大幅な軽量化を果たしている。重量よりもエアロ効果の方が支配的ではあるけど、前モデルの 1815g はさすがに重すぎじゃないかと思っていたから人気が出そう。

Lightweight は性能も値段も最高と言われてるけど、エアロ性能という観点で見てみると微妙なんじゃね?と感じた。有名な Meilenstein はリム面が完全な平面でリム幅は 24mm、Wegweiser Evo はトロイダル形状ではあるもののやはりリム幅が 24mm と絶望的に狭い。リム内幅は記載なし。見た目はかっこいいけど、リムプロファイルはひと昔前って感じだし、単純軽さでは後述の Partington が圧倒的だし、性能が価格に釣り合っていない印象を受けた。

HED はリム幅 30mm 〜 31.3mm とかつてない広さ!さすが老舗エアロ屋。リム内幅も 21mm と文句ない。性能的には良さそうで、あとはロゴが目立つので好みは分かれそう。

Hunt はリムプロファイル的に申し分ないし、重量もまずまず、価格も CLX 50 より安い。さすがに 60 Deep だと 1669g でアレだけど、 45/54 はエアロ性能を犠牲にしないセミディープリムとしてはかなりよい選択肢になりそう。

Partington はオーストラリアの新興ホイールメーカーで、ディスク専用、前後合わせて 1200g (発売当初は 1150g だった?)という驚異的な軽さと、リム内部に詰め物が入っているのが特徴。ただ、リム幅は 26.5mm と控えめなので興味はありつつも、今回の目的には適してなさそう。でも軽いってのは武器だよなぁ。

Black Inc もなかなか良い選択肢になりそう。特に SIXTY はリム幅 30mm とエアロ効果を期待できる。気になったのは SIXTY は 28c に最適化されている、という記述。105% ルールは気にしていないのかもしれない。

と、候補はいろいろあるんだけど、すでに Princeton CarbonWorks を使ってみようという気持ちは決まっている。

Princeton CarbonWorks

WAKE 6560 にするか GRIT 4540 にするかが問題だ。

ModelRim HeightRim WidthInternal Rim WidthWeight
WAKE 656060 - 65mm26mm18mm1437g
GRIT 454040 - 45mm29.9mm21mm1430g

どちらのモデルにするにしてもハブは軽量な TUNE を選択する想定。GRIT 4540 は公式の重量記載がリムのみだったため、Sigma Sports のページに記載されている重量を採用した。

GRIT 4540 を選択した場合、リム内幅が 21mm なので現行 ENVE 3.4 と同じくらいタイヤが膨らむ想定で良さそう。つまり最大 27.8mm くらいなので、105% は 29.19mm となって最大リム幅 29.9mm に収まっている。

一方で WAKE 6560 を選択すると、リム内幅が 18mm なのでタイヤの膨らみはリム内幅が 21mm のときよりも小さくなる。仮に 26.8mm で収まったとしても、drag 低減に必要な最小リム幅は 28.1mm なので WAKE 6560 のリム幅 26mm だと厳しい。

WAKE 6560 をエアロ効果を失わずに使うには、23c のタイヤを使って 24.7mm までの膨らみに収まっていれば良いことになる。レースのときだけ 23c を使うことはできると思うけど、転がり抵抗のことを考えると 25c が有利。

結論: GRIT 4540

最初は見た目のかっこよさで WAKE 6560 一択!って考えていたけど、エアロ効果について調べるうちにディープリムかどうかは重要ではなく、タイヤとの組み合わせが大事というのは大きな収穫だった。それに 25c タイヤが 27.8mm まで膨らんでいたのも衝撃。

というわけで GRIT 4540 に決定。

追記: GRIT 4540、ポチった。届くのが楽しみ!

追記: ホイール仕様を表にしてみた

追記: PCW から新作の PEAK 4550 が発売されたので追加

追記: Princeton CarbonWorks の 2021/06/30 時点での出荷リードタイムは約 4 週間とのことだった。