Delter Coffee Pressが最高な件について
思考停止プレス
これまで、いわゆる「マニュアル車」のようなペーパードリップのメリット・デメリット、淹れる時間、テクニックの追求をまるごと楽しんでいたわけだけど、 3 ヶ月前に長々と書いた記事のことなどすっかり忘れてしまうほどに、 Delter Coffee Pressにハマってしまった。
今回は思考停止して狂ったように Delter で 3 ヶ月間淹れまくった理由を、「なぜなぜ分析」で紐解こうと思う。自分のために。
Q: なぜ Delter ばかり使うの?
A: 楽だから
お湯を沸かす、豆を挽く、フィルターをセットする、豆を入れる、お湯を注ぐ、プレスする。
ドリップのときの繊細なコントロールとかは一切不要。とにかくパラメータが少ない。 豆の挽目、お湯の温度、蒸らしの湯量と時間、何回プレスするか、どのくらいの時間をかけてプレスするか程度しかない。
淹れ終わったら、ゴミ箱で本体を揺らすだけでフィルターと一緒に コーヒーカスが落ちるから、あとはサッと流水で流すだけ。
こんなに簡単な器具は他にはない。
A: 上手にドリップしたときの仕上がり
これは完全に自分の好み。 ペーパードリップの特徴であるクリアな味、浸漬式の要素を少し加えることで、エグみが出ない程度にボディと甘みをしっかり引き出す。 特に washed を淹れたときの清涼感とかはドリップするよりも好みだった。
A: どんな豆でも初回から平均点が出る
初めて飲む豆はどんな感じかわからず、初回は失敗することが多い。100g しかないのに地味に痛い。 だけど Delter は熱湯と 200g のお湯、12g の豆、蒸らしは 45 秒、トータルで 2 分 30 秒前後で淹れればとりあえず平均点の抽出ができてしまう。
これまで初回で微妙になった豆はTRUNK COFFEEの Columbia El Paraiso Double Anaerobic Washed くらい。
Q: なぜ平均点が出せるのか?
A: パラメータが少ないから
認めたくないけど、ドリップだといろいろ余計なことをしがち、というのがある。 ちょっと今日は粉が滞留しないようにしてみようかとか、前半を多めにしてみようかとか、朝寝ぼけていて手元が狂ったり、ミーティング開始ギリギリで慌てていたとか。 後半は修行が足りないだけなんだけど、毎日やることだから、1 回 1 回に精度が必要になると結構神経使うことになる。
パラメータ(自由度)が少ないというのは決してデメリットではなく、ちょっとドリップに疲れたときとか、サクッと飲みたいときとかには良い選択肢になる。
Q: なぜパラメータが少ないと良いのか?
A: ベンチマークになる
これはつまりブレが少ないってこと。 カッピングのときに浸漬式で行うのは抽出テクニックによらない豆そのものの味を評価するためだった。
Delter でも同じことが言えて、条件を揃えればほぼブレがなく抽出できるので、いろんな豆を試すときに比較しやすい。 特に去年から通販で購入することが増えて、常に 5〜6 種類ほどの豆を抱える状態になったので、とても重宝している。
Q: なぜドリップしたときの仕上がりに近いのか?
A: Delter の構造によるもの
プレスするとシャワーみたいにお湯がフィルターに落ちるので透過式が基本。 ただ、プレスして送り出す湯量を増やすことで多少は浸漬式の要素を取り込むことができるかもしれない(中が見えないからようわからん)。 さらに、ドリップではどうしてもお湯が勢いよく粉に当たるので、撹拌されてしまって悪さをすることが多いけど、 Delter では押し出されたお湯が直接は当たらず、ワンクッション置いてから落ちるので粉が必要以上に撹拌されにくい。
最初の蒸らしは一気に押し込んでお湯を溜めて、本体を振ることで強制的に撹拌する(Ignis で聞いた)。こんな感じにドリップのテクニックを応用できる。
やっぱドリップがんばります
そんなわけで Delter にハマってしまった。 正直、ドリップに戻りたくない。ドリップで自分の下手さに落胆したくない。 絶対に美味しく淹れることができるし、慣れればトータル 5 分で抽出できる。
でも、最近は思考停止で淹れた Delter の平均点ドリップで本当にいいのか? って気がしている。 ドリップで数十回に 1 回くらい成功する「奇跡の 1 杯」みたいなやつがない。
それにドリップで得た知見を Delter に活かせるわけだし、逆に Delter にしかできない抽出みたいなものもあるはずで、そのあたりは全然引き出せていない。
ちょうど Delter 用のフィルターがまもなくなくなる。 付属のフィルターは 100 枚だったからもう 100 杯も淹れたことになる。
そろそろまたドリップをがんばろうと思う。
オーストラリアから Delter 用のフィルター 1500 枚が届くまでは。